新たに起業する人にとって大変なのが初期投資のための資金を調達することですよね。事業の内容によっても異なりますが、初期投資では事務所や応接室などを持つオフィスを借りる必要があります。小規模の事業から始めるとしても、必要とされるオフィス機器は意外と多いものですので、数百万円単位の資金がオフィスだけで飛んで行ってしまうこともあります。こうした悩みを解消するのがコワーキングスペースというアイディアです。
このコワーキングスペースは、いくつかの起業家が集まり、一つの家をシェアするようにオフィスをシェアします。それぞれの事務所スペースは別個にありますが、プリンターなどのオフィス機器や給湯室、応接室などを共有することが多くなっています。こうした場所を利用することでかなり事務所の賃料を下げることができて、少ない初期投資で起業できるというメリットがあります。また、こうしたスペースを提供しているところでは、起業のためのノウハウを持っていることが多いので、効率の良い設備環境が整っていて仕事がしやすく、起業準備のための時間を無駄にしなくて済むというのも大きな利点と言えるでしょう。
コワーキングスペースは一見するとレンタルオフィスと同じように思えるかもしれませんが、比較してみると二つの間には違いがあります。レンタルオフィスの場合は事務所を借りるだけで、そこに入っている会社同士には特に何の関係もありません。単に一つのアパートに住民がバラバラに生活しているようなものですね。しかし、この新しいコワーキングというアイディアでは、単に場所を共有するだけでなく、そこにいる起業家同士がアイディアを共有し合うという形を生み出します。同じような業種の人たちが集まったり、仕事の内容は異なるものの、尊敬し合う起業家が集まって一緒の空間で仕事をすることで、お互いに刺激し合い、役に立つ情報を分かち合うという関係が生まれるのです。この関係こそがレンタルオフィスとの大きな違いとなります。
同じ空間を共有している起業家同士が助け合うのが良いところですが、万が一気の合わない起業家が入ってきてしまったり、意見の衝突が生まれてしまったりすると険悪な雰囲気の中仕事を進めていかなければならないというデメリットもありますので注意も必要です。また、設備の使い方などで明確なルールがないと、細かな点でもめ事が生じてしまうという可能性もあります。長所や短所を見ながら、自分の起業に合ったシステムかどうかを判断すると良いでしょう。