初めて会社を設立して事業を立ち上げる人にとって考えるべき課題はたくさんありますね。どこにどのようにオフィスを構えて設備を整えるかというのも一つです。オフィスを構えるにもいろいろなコストがかかりますので、初期投資にそれなりの資金が必要となります。また、効率よく仕事を進めるためのノウハウもありませんので、難しい問題が山積です。そのような起業家をサポートするために設けられているのが、インキュベーション施設と呼ばれるものです。
このインキュベーション施設とは、英語の「孵化」という言葉から来ていて、経営者の卵を育てるという目的のために作られた施設です。企業をする人たちを助けるために自治体や公共団体が作っていることが多く、事業を始めるのに必要な事務所スペースやオフィス機器などが揃っています。そのため、その施設に入ることができれば、すぐに事業を始めることができて、事務所設置のための資金や準備期間がいらないというメリットがあります。
また、インキュベーション施設と一般のレンタルオフィスとの違いで一番大きなものとしては、事業の支援制度が整っているという点が挙げられます。起業するにあたっては、帳簿のつけ方や税務関連の処理の方法、効果的な宣伝方法などを学ぶ必要がありますが、インキュベーション施設ではこうした面でのアドバイスを与えてくれる専門のスタッフがいます。起業に役立つ情報や判断基準を教えてくれますので、心強い味方を手に入れることもできるのです。また、レンタルオフィスよりも格安で借りられることがほとんどですので、自己資金があまりないとしても無理なく事業を起こせるというメリットもあります。
一方で、誰でもこの施設を利用できるわけではなく審査を通過しなければならないという面もあります。事業種類制限があったり、あくまで起業を支援するためのものなので、使える期間制限があったりするという点も考慮すべきです。自治体によっては施設に限りがありますので、どうしても募集が少ないという問題もあります。まずはビジネスを始めたいと思っているところでは、どのようなインキュベーション施設があるのか、そこに入るための条件はどのようなものなのかを調べてみると良いでしょう。いろいろと細かい条件が課せられていることもありますが、役所で聞けば詳しく教えてくれますので、インターネットなどの情報だけでなく直接行って調べるのが一番効率的でしょう。