国家資格が必要な職業に就けば安心、というイメージを持っている方も多いでしょう。転職・再就職を目指す際にこうした資格の取得を目指す方も。確かに弁護士、公認会計士、税理士といった仕事は高収入が期待できますし、取得すればまず就職先と生計の手段に困ることはないでしょう。ただ必ずしもすべてがそうだとはいえず、中には給料が安すぎる、あるいはブラックとしか思えない職種もあります。
その筆頭が介護・福祉関連でしょう。介護福祉士、ケアマネージャーなどさまざまな職種が活躍している分野ですが、厳しい就業環境で離職率が非常に高い点が大きな問題となっています。結婚を機会に男性が退職する「寿退社」なんて表現がされることもあります。つまり収入が低いので結婚して家庭を持ったら生活が成り立たなくなってしまうので職を変える、というわけです。これは介護保険制度の限界などもあって財源が十分に確保できず収入が非常に安いこと、さらに急速な高齢化の進行で人手が追いつかずにスタッフひとりひとりの負担が大きく激務になってしまいがちな点が原因として挙げられます。待遇がよくないからすぐに辞めてしまい、辞めてしまう人が多いから残った人の負担が多くなる、完全な悪循環に陥ってしまっているとも言われています。わたしもブラック企業を辞めたときに転職先の選択肢として少し考えたのですが、いろいろと話を聞いて「これは無理だな」と諦めました。
それから保育士。これも人手不足と収入の問題で厳しい就業環境を強いられやすいといわれています。給料が月20万円に届かない職場も多く、キャリアを重ねても昇給が期待できない点もマイナスです。待機児童を解消するため保育士の増加を国が推進している状況ですが、肝心の待遇面がいまひとつ改善されていないためうまく言っているとはいえない環境です。わたしも子供がいる身なので保育士の重要さはわかっているつもりなのですが、保育所で実際に働いている姿を見たときには「これは大変な仕事だな」と思いました。
こうした仕事に比べると激務で薄給といわれる看護師などは収入面ではけっこう恵まれていて、平均年収は430万円くらいといわれています。上の2つの相場は300万円に届かないレベルですから、収入の面でもハッキリとした差が窺えますね。
あまり知られていないところではクリーニング師。これは平均年収は270万円程度といわれています。それから自動車整備士が380万円ほど。スキルが必要とされる職種のわりには低い印象もあります。転職を目指す場合には少しでもよい環境を、資格を取得するなら稼げるものを選ぶことが大事なんでしょうね。