「もうこんなブラック企業で働くのはいやだ、とにかく転職しよう。」そんな気持ちで退職したことがある人も多いはずです。わたしもそれに近いような事情で職を変えたことがあります。当たり前のようなサービス残業、帰宅するのは深夜遅く、ようやく明日は休日、と思ったら急に出勤命令が下る…それでも生活のためにと何とか我慢して働き続けていたのですが、ある日1ヶ月近く子供とまともに会話を交わしていないことに気づいて「これはまずい」と辞めることにしたんです。
負の連鎖が始まる
ただこうしたパターンには注意が必要ですね。「とにかく今の職場をやめたい、とりあえず転職する」という考え方だと次の職場を見つけるのに苦労してしまうことが多いからです。とくに若いころにこうした形で職場を辞めてしまうと繰り返しやすく、職場を転々としてなかなか落ち着かない状況に追い込まれてしまうこともあります。
現状分析から始めよう
とりあえず仕事を変えよう、という考え方は場当たり的な職探しの原因となります。自分が何をやりたいのか、どういった仕事に向いているのかをよく考えずに給料や就業環境ばかりを意識して求人に申しこんでしまうことが多く、無事採用されても働き始めると「イメージと違う」「自分には向いていない仕事かもしれない」と不満を感じるようになってしまいます。こうなった段階で離職は時間の問題となるでしょう。
そんなことを繰り返す離職回数ばかりが増えて一向にスキルやキャリアを身につけることができず歳だけをとってしまいます。大事な20代をコロコロと職を変えるだけで過ごした人と、将来を見据えてキャリアを重ねてスキルを身につけてきた人とでは30代以降に大きな差がついてしまいます。そして年齢が高く、離職回数が多いほど転職のハードルが高くなってしまうのは言うまでもないでしょう。
辞めると決めたら計画を立てよう
ブラック企業から逃げ出すためであろうと何だろうと「なんでもいいからとりあえず職を変えよう」という考え方はやめたほうがよいでしょう。もちろん、我慢して働き続けろというわけではありません。辞めるにしても将来の展望をしっかり見据えた形で次の仕事を探すことが大事なのです。長時間労働に苦しめられてきた場合にはもっと楽な就業環境、人間関係に悩まされてきた場合には雰囲気がいいところなどを重視してしまうものですが、それよりも前に自分が何をしたいのか、なりたい自分になるにはどういった職種でどんな仕事をすればいいのかを検討しておきましょう。失業期間中を利用して資格を取得するのもよい方法です。じつはわたしも3ヵ月ほど失業期間があったので資格を取得したのですが、それが職探しの際に非常に役立ってくれました。
辞める前にできること、それはやめた後に何をするかを考えることなのかもしれません。