ブラック会社は飲食業など仕事が忙しいサービス業に多いイメージがありますが、もうひとつ注意したいのが親族企業の存在です。中小規模の会社で親族が役職を独占しているような企業はブラックな環境になりやすく、ブラックが少なそうな業種にもそうした起業はかならず存在しています。
どうして親族が多い会社はブラック率が高いのか?それにはいくつかの理由が考えられます。まずトップが苦労していないケースが多いこと。初代が頑張って成功を収めて築き上げた会社をそのまま引き継いだ2代目、3代目はその苦労を共有していないことが多く、成功して業績を上げられている状況を「当たり前のこと」として受け止めている傾向が見られます。そのためその成功や業績が従業員の頑張りによるものだという意識が薄く、就業環境や待遇に対して配慮がいきわたらないことが多いのです。初代は従業員をいたわりながら経営を行っていた会社も2代目、3代目と代を重ねていくにつれて当初の社風を忘れてしまうケースが少なくありません。
また、初代が優れた経営者だからといって2代目、3代目も優れている保証はどこにもないですよね?優秀な人材が娘婿になって後を継ぐならともかく、息子が後を継ぐ場合には優れた経営者よりもダメな経営者になる可能性の方が高くなると言い切ってしまってもよいでしょう。息子の場合は最初から後を継ぐことが決まっているので現場でたたき上げて仕事の厳しさを学ぶ機会も、従業員と一緒に苦労する経験もなくトップに就任することがほとんどなので、現場の声を無視した経営に取りかかることも多いのです。
このようにトップが世襲でどんどん環境が悪くなっている会社も厄介ですが、それ以上に厄介なのがたくさんの親族が勤務している会社です。ただ血縁関係があるというだけで高い役職についていることも多く、勤務実体がない、あってもまったく無能で仕事をしないほうがいいようなケースでは職場の士気に関わってきます。しかもとにかく売り上げアップだけを考えて従業員の待遇を考えずにムチャなノルマや長時間労働を強いてきたり、結果を出しても昇給などで報いないといったことも考えられます。最悪の場合は優れた人材に対して嫉妬して冷遇する、なんてこともあるでしょう。そうした親族が居座っていれば出世のチャンスも少なくなりますから、将来性も期待できません。
そんな厄介な親族企業の見抜き方としてはまず役職に連なる名前をチェックすることです。同じ名字の名前がひたすら連なっているのが典型的な特徴です。また当然ですが離職率が高いこと。ずっと同じ名前が役職に連なっているような会社は離職率が高く出世のチャンスが少ない会社と見るべきです。