電子メールを上手に活用する

 パソコン同士で文書や画像をやり取りする電子メールは、今では電話やFAXと並ぶ通信手段として定着しつつあります。特にビジネス上で、電子メールを利用する機会は、今後、ますます増えるでしょう。最近では、名刺にE‐mailアドレスを入れている人も多いですね。

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 上手に活用したいところですが、パソコンの画面に向かって直接文字を入力する気軽さに、つい、あいさつ文を入れ忘れたり、長々と書き込んで要点をわかりにくくしがちです。気軽とはいえ、あくまでもビジネスの文書であることを忘れないようにしたいものです。

ビジネス文書の基本

ビジネス文書には2種類ある

 ビジネス文書には、担当者が上司に報告する各種の文書、部課相互の連絡に必要な文書、役員や部課長などの出す通達文、社外に出す案内文やあいさつ文など多岐にわたります。大きく分けると、社内向けのものと社外向けのものの2種類があります。

 社内向けは、通知文、案内文、出張報告書、稟議書、届出書など、社外向けとしては、就任あいさつ状、転任あいさつ状、営業所開設あいさつ状、新規取引申込状などが挙げられます。

 文書はビジネス上の意思の伝達には欠かせない方法であり、長く保存されて通達や連絡を確かに行ったことを示す証拠となるものであり、データとしての価値を持つものです。

ひとつの文書にはひとつの内容を書く

 ビジネス文書は、そこに記載した内容を相手に確実に伝えることが最大の目的です。それには、文書を簡潔に書くことが最も重要となります。

 簡潔に書くポイントは、「ひとつの文書には、ひとつの内容を書くこと」です。

 ひとつの文書に、2つ以上の要件を同時に盛り込んであると、その文書を受け取った相手は、最も重要な要件を判断しにくく、散漫な印象を与えてしまいがちで、「明確に伝達する」という文書本来の目的が失われます。さらに、受け取った側は、その文書をどのように分類し、どこにファイルしてよいのか迷います。あとになってその文書を確かめるときに、探し出すことが難しくなってしまいます。

ビジネス文書は簡潔に

 ビジネス文書は、読んだ相手が理解し納得することが大切です。小説や手紙と違って、疑った表現や言い回しは、理解の妨げとなります。

 日本語の文書の流れには起承転結があります。しかも、主語と述語の間にいくつもの修飾語があるため、最後にようやく肯定文なのか否定文なのかがわかるという性質を持っています。

 ビジネス文書の場合、日本語特有の回りくどさをなくすため、「起承転結」ではなく、「結起承」の順で書きます。「転」の部分削ります。まず最初に結論を明確に述べ、その次に理由や説明の文書を続けます。また、一つひとつの分でもできるだけ無駄な形容詞を省いて書きましょう。

ビジネス文書の書き方にはコツがあります

 ビジネス文書は、「いつ」「どこで」「誰が」「誰に」「何を」「何のために」「いくらで」「どうするのか」という6W2Hの要素を明確にして、簡潔な文書で結論から先に書くようにします。

社内文書の場合は、文書の内容によっては、前文を省略し、直接「本文」に入ってもかまいません。

ビジネス文書の基本書式

⑴前付

  • 文書番号=年度単位の文書番号。

「営三」は「営業三課」を表す。

  • 発信日付=文書を発信した日付で、作成日付でないことに注意
  • 宛名(受信者)=文書の受信者。

社内文書:役職者の場合は、役職名のみとし、役職のない場合は、部署名、または部署名・個人名とする。

社外文書:会社名、役職名、姓名

  • 発信者名・印=文書を発信した部署名を表す。印を押す。

社内文書:役職者の場合は、役職名のみとし、役職のない場合は、部署名、または部署名・個人名とする。

社外文書:会社名、役職名、姓名

⑵標題(件名)

 文書の内容を表すタイトルで、「標記」などとも呼ばれる。

⑶本文

 文書の内容を表記した部分。

  • 頭語、前文(あいさつ)=頭語は、冒頭のあいさつにあたる部分で、「拝啓」「謹啓」「拝復(返信の場合)」「前略」「冠省」などがある。これに続けて、時候のあいさつ、相手の安否を伺う文(会社の繁栄を喜ぶ文)、感謝、お礼の文、を書く。

ただし、社内文書の場合は、頭語、前文は省略される。

  • 起語、主文(用件)=起語は主文に入ることを示す語句で「さて」「ついては」「ところで」「さっそく」などの語句を使用する。これに続けて、本文を書く。

   ただし社内文書の場合は、起語は省略し、いきなり本文から書く。

  • 末文=用件を簡潔に書く部分。例えば「まずはご報告まで」など。内容が複雑な場合は、箇条書きにする。

⑷結語

「敬具」「草々」などで結ぶ。

⑸別記

 本文で「下記の通り」などと表現した内容を「記」としてまとめる。別記は「以上」とくくる。

⑹追記

強調する内容、書き足したい内容を簡潔に記す。

⑺担当者名

担当部署名と担当者名を記し、必要に応じて、電話番号などを書き記す。

ビジネス文書の基本書式

 ビジネス文書には、一定のスタイルがあります。内容は、さまざまですが、盛り込む項目はどの文書も基本的に変わりません。まず、書式・体裁を覚えておけば、いざ、要件を先方へ伝えようというときも慌てずに済みます。

宛名の書き方・敬称の使い方

<宛名の書き方>

・社内文書

 ○○経理部長殿(様)

 経理部各位

・社外文書

 ・団体・会社

  ○○株式会社御中

  ○○株式会社御一同様

 ・役職名

  営業部 ○○部長殿(様)

  営業部長 ○○殿(様)

<敬称の使い方>

あなた貴台、貴殿、貴下、貴君

皆(みな)皆様、皆々様、各位、御一同

御尊家、御貴家、特下

貴社、御社、貴行、貴局、貴庁、貴院、貴大学、貴校、御校

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