部屋や乗り物には上座と下座がある
日常生活だけでなく、ビジネスの場においても、人と人との関係は大切です。その人間関係をスムーズに運ぶには、立場の違いに絶えず気を配って行動しなければなりません。
特に、日々のビジネスの現場では、社内の人と人との間で、また社員と来客との間で、立場をわきまえた行動が求められます。社会人として、またその会社の社員として、恥ずかしくないふるまいを心掛けることが肝心です。席次も、社会人の常識として知っておきたいルールです。部屋や乗り物には必ず上座と下座があります。これについて知らないと、礼を書くことにもなりかねません。
さまざまな席次を知り、どんな状況でも対処できるようにしましょう。
上座と下座の違いって何?
「上座」とは、座席の中で最も上手の席で、上位の人や客などが着く席をいい、「上席」ともいいます。この反対が「下座」で、下位の人が座る席をいい、席の中でも最も下手にある席のことを、「末席」ともいいます。
したがって、社外のお客様や、社内でも役職が上の人、また目上の人には、上座をすすめ、反対にもてなす側の人、社内での役職が下の人、また若年の人が下座に座ることが礼儀にかなった行動となります。
これが、接待する側の最低限のマナーです。
また、来訪者は、特に席をすすめられなかった場合は、下座に座るようにします。
臨機応変な対応が肝!状況によって席次は変わる
上座は、「相手に不快な思いや窮屈な思いをさせない場所であること」が原則。つまり、ゆったり落ち着いて座れ、眺めも良い席が最上席となります。一般に、出入り口から遠い場所、奥の場所、景色がよく見える場所、同じ位置では右側が、上座となります。
実際には、室内でも和室と洋室との違いによって、またその部屋の構造などにより状況が異なりますから、具体的な上座・下座の位置関係を知っておくことがよいでしょう。
自動車での席次は?
自動車の場合の上座・下座は、自動車の種類などにより異なります。
自家用車で、持ち主が運転する場合は、助手席が上座です。これは、持ち主を運転手扱いしないという配慮からきた習慣のようです。
ただし、実際の持ち主ではなく、しかもプロの運転手以外が運転する場合などは違ってきます。
例えば会社の乗用車を運転要員としての若い社員が運転する場合は、運転席の後ろが上座となります。
タクシーでは、運転手の後ろが上座となります。
なお、ハイヤーの場合も、席次はタクシーと同じです。
ただ、何がなんでも席次通りでなくてはならないものではありません。状況に応じて判断することも必要でしょう。
新幹線や飛行機の席次は?
新幹線などの列車の場合は、進行方向に向いている席で、外の風景が見える窓側の座席が最上席です。その向かい側の座先が、その次の席次となります。
中央の座席列の場合は、両方の通路側の席が上席となります。
なお、小型ヘリコプターの場合は、乗り込んだ側から見て、奥の席が上席となります。
しかし、上記のルールはあくまで原則です。ルール通りの席が、その人にとって必ずしも快適であるとは限りません。
出入りがしやすいからと、通路側の席を好む人もいます。希望があれば、相手に座席を選んでもらうとよいでしょう。
エレベーターでの席次とマナー
エレベーターでは、入って左側の奥(乗っている人から見ると右隅)が上席となります。
ちなみに、社交礼儀上では、会社などの私的な建物内のエレベーターは部屋の延長であり、またホテルやデパートなどの公開の場のエレベーターは街路の延長であると見なされています。したがって、西欧の諸国では、エレベーターには婦人が乗り込んできたときは、男性は帽子を脱ぐのが礼儀となっています。しかし、すでにエレベーター内が込み合っている場合は、帽子のひさしに手を当てるだけの略式の方法でよいようです。