ブラック企業を辞めたい場合には「とにかくこの会社から逃げだしたい」という思いが強く、次の職場をどうしようかという考えがなかなか及ばないものです。転職活動は退職前に行うのが原則とよく言われますが、ブラックの場合はそもそも長時間労働が当たり前でそんなことをしている時間の余裕も確保できないことが多いものです。実はわたしも、以前連日残業続きの会社で働いていたのですが、辞めようと思っても忙しくて職探しもままならず、失業への不安からズルズルと働き続けてしまった苦い思い出があります。
ですからブラック企業を辞める場合には転職活動を行うのは難しいにしても、次の職場へのビジョンをできるだけはっきりと思い描いておくことが大事です。今働いている会社に問題があるのは明らかなので「どこに転職しても今よりはマシになる」と思ってしまいがちですが、そういった消極的な考えでは次の転職も失敗してしまう恐れがあります。転職した直後は「前の職場に比べてずっと楽」などよい面ばかりが目についてうれしくなるものですが、だんだん職場に慣れてくると不満点が気になってくることも多いのです。その結果最終的に「ここもやっぱり自分に向いている職場じゃない」と再び退職してしまうことになりかねません。転職の際に探すべきは「ブラック企業ではない転職先」ではなく「条件の良い転職先」なのです。
そんな条件の良い転職先探しの鍵となるのがワーク・ライフ・バランスです。簡単に言えば仕事と生活のバランスが取れているか。ブラックな会社の場合は長時間勤務や上司の横暴、同僚に嫌がらせといった問題でこのバランスが狂ってしまってしまいます。仕事が日常生活を圧迫してしまうわけですね。わたしも以前の職場では子供と接する機会が少なくて悩まされました。ですからワーク・ライフ・バランスがとれているかどうか、仕事と日常生活の両方を充実させることができるかを職探しを行っていくうえで重視しなければならないのです。
そのためには「ヒト、カネ、時間」のバランスが何よりも大事です。たとえば就業時間は短くても人間関係が良くない職場はよい環境とはいえませんし、生活にゆとりがもてる就業環境でも給料が安くては生活が成り立ちません。自分がやりたい仕事かどうかもポイントとなるでしょう。やりがいを感じられる仕事なら少しくらい残業が多くてもこなす気になれますし、成果を出して出世すればゆとりのある環境を得るチャンスにも恵まれるからです。こうした自分なりのワーク・ライフ・バランスを見出すことかできるかが大事になるでしょう。