ブラック企業のパターンでもっとも多いのが長時間労働とサービス残業です。毎日当たり前のように長時間の残業を課したあげく残業代を支払わない。そんな理不尽な環境を社員に強いてくる会社も少なくありません。飲食業をはじめとしたサービス業ではサービス残業が常態化した面もあり、払われないのが当たり前といった雰囲気にもなっています。
わたしが以前働いていたサービス業の仕事でも同様で、1ヵ月の残業時間が100時間を越えることもザラ、そのうち残業代が支払われるのはごく一部、連日帰宅が遅く、子供の顔を見るのは寝顔だけ。そんな生活が長く続いていました。現在では転職してそんな厳しい環境から抜け出すことができましたが、当時は「サービス残業は仕方ないけどもう少し残業時間そのものを減らして欲しい」などと弱音を吐いていたものでした。
こうした問題は社会全体で問題になっているようです。平成25年の厚生労働省によるデータですが、総合労働相談コーナーにおいてサービス残業、つまり残業代の未払いに関する相談件数が106万件以上寄せられたそうです。いかに多くのビジネスマンがサービス残業の問題を抱えているかが窺えます。
本来支払われるべき賃金が支払われないというのはれっきとした違法行為ですから、そんなものを許してよいはずがありません。断固とした意思で支払いを会社に要求する…といいたいところですが、要求したところで素直に応じてくれるところは少ないのが現実です。そうなると訴訟を起こして裁判で決着をつけるという強硬手段に出るしか方法がなくなってきます。その結果会社を辞めなければならない状況に追い込まれてしまうかもしれませんが、違法な行為を絶対に許さず労働者としての権利を守るためには訴訟に踏み切る価値は十分にあるでしょう。
その際に重要なのが長時間労働とサービス残業を行った証拠です。たとえばタイムカード、勤怠記録、日報など。実際に毎日どれぐらい働いていたのか、どんな規則のもとで働いていたのかを証明する大事な証拠です。それから業務用に使用していたメールの送受信歴。深夜や早朝に仕事の案件で使用した履歴が多い場合には長時間労働の強力な証拠になります。さらに深夜にタクシーを使用した際の領収書などの客観的な証拠となります。
さらに会社や上司からの指示で残業していたことを示す残業指示書やメールなどの証拠も必要です。会社側が「勝手に残って残業しただけ」と言い逃れをしないためです。こうした証拠を十分にそろえたうえで訴訟に持ち込めば残業代を支払わせることも可能でしょう。その際には弁護士などプロに相談するなどの万全の対策も欲しいところです。