昇進は誰にとっても夢、管理職はビジネスマンとしてのひとつのターニングポイントです。このポストについたことでようやく自分の人生も軌道に乗ったな、と思えるようになるものですし、今後の仕事にやりがいも出てくるというものです。
しかしそんな多くのビジネスマンの願望を踏みにじるような「名ばかり管理職」が増えているといわれています。偽装管理職なんていわれ方もされますが、ポストばかりで待遇はヒラのころと変わらない、それどころか責任が重くなるのに対してそれに相応しい待遇を得られなくなることで、以前よりもずっと厳しい環境で働かなければならない状況に追い込まれてしまうケースが増えているというのです。
じつはわたしもそんな偽装管理職の問題と直面したことがあります。前に働いていた職場がブラックとしか思えない環境だったのですが、わたしの直接の上司がまさに名ばかりといった立場に立たされていたのです。管理職という肩書きこそあるものの権限はほとんどなし、上からの命令に忠実に従うだけ、しかも職場全体の責任を負わなければならない。どう考えてもムチャなノルマや納期を課せられたうえに、上からのお達し通りに仕事をこなせないとその上司が全面的に責任を負わなければならなくなる。とんでもないですよね。
しかもこうした名ばかり管理職にはさまざまなデメリットがあります。最大のものが「残業代がでない」ということです。残業をすれば割増賃金の形で残業代がでる、というのは常識ですが、じつは労働基準法では管理監督者は割増賃金の適応から除外されているのです。つまり権限も何もない状態でも管理職に就けてしまえばその人に対して会社側は残業代を支払う必要がなくなるわけです。そもそも管理職など必要ない職場に肩書きだけをつけることで人件費を削減できるわけですね。ただでさえブラック企業ではサービス残業の問題が指摘されているというのに残業代を出さないのを正当化されてしまうわけです。
また、長時間労働も当たり前、管理職なのにヒラの社員と同じように「何時までに出勤しなければならない」「1週間に○○時間と残業しなければならない」といった制限が設けられていることも多く、管理職としての意志や判断が入り込む余地がほとんどない場合も少なくありません。
そのうえ昇給がほとんど期待できず、責任ばかりが増えてそれに見合う給料がもらえない。そんな恐ろしい名ばかり管理職が増えているというのです。恐ろしい話ですね。