ブラック企業がさまざまな業種ではびこっているような印象も受けます。
じつはわたしも以前働いていた会社がブラックとしか思えないような環境でしたが、実際、どこの企業も多かれ少なかれブラックな一面はあるもので、多少の無理は買ってでもするという働き方が身についていました。
今日は、ブラック企業の中でも、公に公表さた是正勧告を受けた企業についての感想を書きたいと思います。
私が勤めていた企業のブラックだな思う点を箇条書きにしてみました。
- 連日の残業で帰宅もままらない(平均15~16時間勤務)
- 深夜でも携帯で呼び出される(AM3:00とかAM4:00に平気で電話してくる)
- 休日も研修で潰れる(1ヶ月多いと3日くらいは研修が入る)
- 残業代は固定のため増えない(かといって給与は業界平均くらい)
- 社員と派遣(パート、アルバイト、海外研修制)人数比率が2:8
- 正社員の9割が新人(新人正社員を派遣社員が指導している)
- 社員の離職率が8割(3年間以内に8割以上辞めている)
- 24時間稼働で2交代(実質交代要員がいない為、まれに夜勤から日勤、日勤から夜勤が休みなしに入れ替えになるときもある)
- 理不尽なパワハラ(罵声を浴びせられる)
完全に負の連鎖状態
私自身、損得抜きでなんとか改善しようと頑張ってみましたが、心半ばでくじけてしまいました。私の場合は、子供と接する時間をほとんど確保できないような状況で、父親の存在意義のような部分で「これじゃダメだ」と思い今では、本当に退職してよかったと思っています。
そんなブラック企業のことがニュースで話題になる機会も増えてますよね。ビックリするくらい有名な、一流企業と思っていた会社がとんでもない就業環境を従業員に強いていた、とか。
厚生労働省でもこうした問題を重視しているらしく、ブラック企業と認定した企業に対して公表と是正勧告を行うようになっています。2016年5月にははじめて企業名を公表して話題になったので覚えている方も多いのではないでしょうか。
この是正勧告には微妙な部分もありまして、処分ではなく指導です。
是正勧告事例
労働基準監督署が調査に入り、法令違反が発見された場合は、是正勧告書が交付され、法令違反を是正するよう勧告されることになりますが、これを是正勧告といいます。(指導票や使用停止等命令書が交付される場合もあります。)
ただし、もし法令違反があったとしても、直ちにその場で罰金などの罰則が科せられるものではありません。
是正勧告というものは「行政処分」ではなく、あくまでも、勧告ですから「行政指導」であり、法的な強制力は持ちません。
しかし、法令違反だとして監督官に指摘された以上、それを繰り返し是正しない場合や、あまりにも悪質だと判断された場合は、検察庁に書類送検される可能性もあります。
そうなると、労働基準法や、各法律に定められた罰則が適用される可能性もあります。
出典:労働基準監督署対策相談室 2017/03/15
つまり「あなたの会社はブラックだからこんな罰則を科すことにしました」ではなく、「あなたの会社はブラックなので改善しなさい」というわけです。法的な強制力もないので勧告を受けた会社はその気になれば完全に無視することができるわけです。
なお、勧告を受けた後でも一向に改善されない場合、あるいはさらに状況悪化が見られるなど悪質な場合には検察庁に書類送検されたうえで刑事罰を問われることもあります。
ただここまでに達するのはよほどの問題がないと難しいでしょう。
そうなると勧告を受けても企業は痛くもかゆくもない、たいした意味はないじゃないか、と思ってしまいます。
実際直接のダメージはないといってもよいのですが、社会的な影響はやっぱり大きいようです。
なにしろブラック企業の「お墨付き」をもらってしまうわけですから。
「あの会社はブラックとしか思えない」ではなく「あの会社はブラックなんだよ」となるわけです。
考えられるのはまず退職ラッシュ。
現在働いている人が辞めてしまうことが考えられます。
とくに勧告を受けていて改善する気配が見られなかった場合には可能性が高くなるでしょう。
さらに新規採用を使用しても応募がこない。
誰だってブラックとわかっている会社に就職しようは思わないものです。
いわば社会的制裁の形で勧告の影響が及ぶことになるんですよね。
企業のブランドイメージの低下も大きいでしょう。
そう考えると法的な強制力がない勧告にもそれなりの威力というか、意味があるのかな、と思います。
実際は、働く側にとって不利な影響力の方が大きい
実際にこのことで、一番悲しいのは、会社を信じて一生懸命に頑張っている社員だと思います。私の場合は、本当にショックでした。
一生懸命頑張っていましたし、転職して、TVCMもやっているような企業に入れたことを家族や身の回りの人たちはとても喜んでくれていたのに、世間的に自分が勤務している会社はブラック企業だと公表されるのですから、非常に辛い思いをしました。
堂々と「私は●●に勤務しております」と言えなくなってしまうのって結構つらいですよ。
その上、社内はよくなるどころか、退職ラッシュで一層荒れ果て残っている人は半ば変人扱いですよ。
私も知り合いや友人から、「お前の会社TVでブラック企業と公表されてたぞ!」と数人から連絡をもらいました。
正直、恥ずかしかったです。
そんなところでいくら頑張っても下の立場なら「馬鹿なやつ」だと思われるのでしょう。
上の立場だと「ひどい人間」のように言われるようになるのです。
しかも、実際の就労環境は世間的に公表されるような内容よりももっと悪い状態でした。私の場合も、タイムカードを改ざんされていたことと、実際に働いている時間より短く申告する遠いうのが通例になっていた為、社長や幹部はもちろん直属の上司ですら、部下が一体どれだけの残業を強いられているのかを把握し切れていない状況でした。
私も、そうでしたが問題になるのを恐れて、事実を隠すことは結果的に事態の悪化を招きかねません。
できないものはできないと、かかった時間は正確に申告しなければ何も変わらないのだと思います。
是正勧告を受けた企業はどうなるのか?
これは、会社にもよるでしょうが、私の経験した限りでは、内部はもっときつい状態になる。
社員が辞める
新しい人が入らない
内部では上辺だけの改革が行われ、タイムカードの改ざんが行われる
当たり前に考えて、是正しなさいと!言われて、すぐに改善できるような状態ならもとよりそんな状態にはなってないと思うのです。
改善できない状態で改善を強いられ、より締め付けの厳しくなった状況で業績をあげなければならない。そう言ったしわ寄せは大概、中間管理職に押し寄せてきます。上は言うだけ、下に言えばは辞めていく…辞められては困るから自分が頑張ってフォローする。
そんな状況から、責任というプレッシャーに押しつぶされてしまう中間に立つ人たちがいるということを知ってもらいたいものです。