敢えてブラック企業を選択するメリット
キャリアアップのためには実績を積みかねていくことが必要です。これは転職を成功させる上でも同じでしょう。何か仕事を成し遂げたことがある、というキャリアはその人を評価する上で大きな材料となります。学歴が仕事の能力と直接結びつかないことは広く知られていますし、資格にしても現場の実践的な場で役立てられるかどうかはまったくの未知数です。現代のビジネスシーンでは「何をやってきたか」が人を評価する上でもっとも大事なポイントとなってくるのでしょう。
ブラックだからこそできることがある
そんな実績づくりにおいては敢えてブラック企業に勤務するという選択肢もあります。「ブラック企業に働くなんてとんでもない」と反発する方も多いかもしれませんが、ブラック企業が多い職種は比較的新しい分野が多く、急成長を遂げている会社も少なくありません。急速に会社の規模が拡大して仕事の量も多くなっているので従業員ひとりひとりの負担が大きくなる、あるいは従業員が快適に仕事ができるような環境や福利厚生を整えるのが追いつかないといった事情を抱えていることが多いからです。
こうした新しく、伸びシロがある分野で働くと短期間でキャリアを積み重ねていくことができるメリットが得られます。何しろ人手が少なく、しかもその業界で豊富なキャリアを積んでいる人がまず少ないので、いきなり抜擢されて現場の責任者やプロジェクトリーダーを任せられるチャンスも出てきますし、その際には学歴ではなくあくまで勤務状況や本人の資質が優先されることがほとんどです。大学を出て、安定した就業環境でコツコツと地道にキャリアを積みかねていく場合に比べてはるかに早く優れたキャリアを獲得していくこともできるわけです。入社から数年で管理職、なんてルートも夢ではありません。
また、昇進することでブラックな環境から抜け出せるというケースもよく見られます。たとえばIT業界やアパレル業界は平均の勤続年数が極端に短くブラックが多いとも言われますが、憧れて就職・転職を目指す人は少なくありません。それは昇進すれば高収入が期待できるとか、自分の憧れの仕事ができるといったプラスイメージを持っているからです。下積みの厳しい状況を乗り越えれば「なりたい自分」になれるチャンスが得られる。しかもその下積みの期間もそれほど長くないかもしれないのです。
木の上に登らないと見えない世界がある
木登りを想像してみてください。
木の上に登るとどんな景色が見えるでしょうか?きっと下から上を見上げる小さな人の群れが見えるでしょう。
私の経験上、ブラック企業ではこの木の枝の席が結構空いてることが多いと思っています。それはきっと安定した居心地のいい枝ではないでしょう。
しがみついていることだけ精一杯かもしれません。
すぐに折れてしまうような枝かもしれません。
でも、考えてみてください。
大企業や優良企業でこの木の上の席は空いていません。ましてや安定した優良企業であればあるほど、枝は丈夫で居心地のいい条件が揃っているのですから、その枝には順番待ちで長蛇の列ができていることでしょう。
ブラック企業は、ブラック企業であるが故に人の入れ替わりも激しい、その分スピード出世のチャンスも多くあるということです。
もし、高いところに上がれたならば、そのままの高さで隣の枝に飛び移ることができるかもしれません。
転職を繰り返すと履歴書の職歴が増えてきます。中途採用では、学歴よりも職務経歴を優先する傾向にあります、最終役職を書く欄にたとえ社内にいた時には、名ばかり役職で大したことない誰でもなれたんだとしても、外から見れば「あの企業の主任をやっていた」という事実だけが情報として残るのです。
ブラック企業だろうがなんだろうが、役職経験者になっておくことのメリットは大きいです。もちろん、実力が備わってなければ意味がないという意見もあるかと思いますが、ほとんど場合に面接時に実力は関係ありません。やってきた実績が大事なのです。その事実フィルターがあるのとないのとでは人の見え方は大きく変わってくるものです。
この事実をうまく使うことで、次の転職でキャリアアップする材料になるのです。
ブラック企業にすべてこうした可能性があるというわけではありませんし、チャンスに乗れなかった場合のリスクも高いものとなります。もちろんブラック企業へ就職を勧めるわけでもありません。ただひとつの選択肢として、短期で戦略的に経験値を高める方法としては考えられると思います。