ブラック企業でボロボロになるまで働かされて健康を害してしまったといった話をよく聞きます。うつ病などの心の病を抱えてしまった、なんて話も。じつはわたしもかつてはブラック企業で勤務しており、ムチャな勤務環境でプライベートがまったくないような生活を送っていました。それでも、逃げるように辞めたくない、同僚が一人、二人とリタイアしていく姿を見て、俺は耐えてこの会社をもっと働きやすい会社にするんだ!と意地とプライドで3年続けました。そこから抜け出すことができたのはおそらく子供と妻がいたからでしょう。自分だけの問題ではなく家族にも迷惑をかける、さらに仕事のせいで子供と接する機会がもてないことに気づいたのです。二人目が生まれたことが一つの大きなきっかけになりました。何せ忙しすぎて家族が一人増えていることにも関心が持てなくなっていたのでしょう。この子はいつからここにいてどんな顔してるのか?全く記憶にないのです。これは将来ぜったいに後悔することになる、そんな思いが退職を決断する背中を押してくれたのです。

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事業規模は関係ない?大企業でもひどい就業環境が浮き彫りに

もともとひどい就業環境で従業員を酷使する会社といえば中小企業のイメージが強かったものです。経営が苦しく、人件費を削減するために人手を最小限に抑えた結果、従業員ひとりひとりの負担が大きくなって酷使されてしまうというパターンです。しかし最近になってそんなイメージが変化してきましたよね。それこそ誰もが知っているような大企業で働いている人たちがとんでもない就業環境を強いられている、みたいな。利益優先で従業員をないがしろにするような会社が規模の大きさにかかわりなく蔓延しているんでしょうね。

競争社会が作り出す安売りのブラックホール

たぶんブラック企業で働いたことがない方は「そんなに厳しいなら辞めればいいじゃないか」と疑問に思うことでしょう。それこそ「辞めないってことは実際はたいしたことないんじゃないの?愚痴をこぼしているだけでしょ?」なんて思う人も。でも実態はまったく違うのです。

なぜ辞めないで働きすぎてしまうのか?その原因はいくつかあります。まず再就職できるのかという不安。とくに大企業の場合はせっかく就職できたのにやめてしまうとよい職場に転職できないかもしれないという不安がどうしても大きくなります。収入ダウンはもちろん、有名企業から中小企業へ転職することへの抵抗もあるでしょう。

私の場合は、ブラック企業でも仕事があるだけマシだと思っていました。頑張れば会社がより良くなるはず、もう少し頑張ればと思い自分が人よりも何倍も働くことで解決できるなら頑張ろう!とタダ残業でも会社に利益をもたらすことであれば引き受けるようにしていました。ですが、どんなに一人あたりの付加価値を上げたとろこで自身の利益につながらいと言うことが、こんなにもモチベーションを下げるものなのだということに気がついてしまったのです。

やってもやっても減らない仕事、減るのは、気持ちの通じた仲間たち…

鎖で繋がれた同僚との関係

それ以上に大きいのが仕事に対する責任がもたらすプレッシャーです。自分が辞めてしまったらこの仕事はどうなってしまうのか?同僚たちが穴埋めをさせられることになるんじゃないか?そんなプレッシャーがどうしてもつきまとうのです。そうやって同僚同士、鎖でつなぎあって苦しさを緩和している状態でした、厳しい就業環境はみんな一緒、自分だけ辞めてしまうことへの罪悪感とか申し訳なさも出てくるんです。辞めてしまえば関係ない、というわけにはなかなかいかないんですね。

そういったこともあり、一度その鎖が切れると途端に退職のラッシュが訪れます。私の場合、組織を構成していた各チームリーダーが私を除いて全員いなくなるという状況に陥りました。辞めたいとか辞めたくないとかいうレベルの話でもなくなり、各チームの取りまとめ役も臨時で兼任しながら、日常の業務がなんか回るように死力を尽くしました。早く応援を入れてくれる日を待ち続けました。ですが、いつまでたっても欠員補充はありませんでした。死力を尽くし何とか耐えているつもりだったのに会社の判断は「少数精鋭でもやれる!むしろ活気が出た!」という評価でした。

さっきもいったようにわたしが退職に踏み切れたのは「家族のため」という大きな理由を持つことができたから。それがなかったら今でもズルズルと働き続けながら心身ともボロボロになっていたかもしれませんね。

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