仕事を辞めると開放感を味わうことができます。とくにわたしのように連日残業で子供と過ごす時間もろくに確保できなかった環境の人間が仕事をやめたときには、「これでまともな人生を送れるようになるぞ!」と自分でも驚くくらい開放的な気分を味わったものです。これは厳しい就業環境で働いていればいるほど味わうものだと思います。

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ただそんな開放感はじつは一時的なもの、退職は精神面によい影響を及ぼすよりも、むしろ悪い影響を及ぼす可能性もあるのです。前の職場をやめた後にすぐ次の仕事先が見つかった場合はよいのですが、失業期間が長くなってしまった場合は不安をはじめとしたさまざまな要素がジワジワと精神を蝕んでいきます。

実際、仕事を辞めた後にうつ病になってしまうというケースも増えているようです。定年退職した後にやることがなくなってしまいうつに追い込まれてしまうといった話も聞きますが、むしろ途中で仕事をやめて失業状態に陥った場合にそのリスクが高くなるようなのです。

考えてみればそれもよくわかります。わたしは幸い失業期間は2ヶ月程度でしたのでそれほど精神的に厳しい状況に陥らずに済みましたが、仕事がない期間は見事なくらい社会から孤立した状態に陥ってしまいます。仕事をやめた後になって、いかに自分の人間関係、もっと大げさに言ってしまえば世界が会社を中心になりたっていたかがわかったのです。会社の同僚はもちろん、取引で知り合った人もあくまで仕事を通じた付き合いが前提、プライベートで接する機会はほとんどありません。辞めたときには同僚が送別会を開催してくれましたが、その後は次第に連絡が途絶えがちになり、会う機会もなくなってしまいました。

かといって仕事もない状態で新しい人間関係をどう築けばいいのでしょうか?知識の活動に積極的に参加する、なんて話も聞きますが、実際問題としてこれまで仕事一筋で生きてきた人間がいきなり参加して人間関係を築けるものでしょうか?世間体もあります。それに仕事もなく収入も立たれている人間が飲み会やパーティーなどに参加する余裕などありません。それどころか貯金がどんどん減っていく不安に晒されながら出費をできるだけ減らす努力に汲々とする始末。

さらに、自分が社会から締め出されてしまったような気がしてしまうこともあります。職も収入もない自分は社会に参加する資格がないんだ、仕事がない自分は一人前の人間ではない、そんな孤立感が日に日に強まっていきます。家族がいなかったらどうなっていたのか、思い出しても怖くなってきます。退職にはこうした面があることを覚えておいたほうがいいでしょう。

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