退職前にはいろいろとやっておくべきことがあります。仕事を辞めてしまうとできなくなってしまうこと、難しくなってしまうこともあるからです。転職活動などは在職中にできるだけ進めておいた方がよいと言われていますが、それは失業中無職状態になるといろいろと不利な面も出てくるからです。とくに信用がなくなることは日常生活に大きな影響を及ぼすことになるので要注意です。
わたしも前の職場を辞めた後に数ヶ月間無職の状況になりました。その前の職場は典型的なブラック企業だったので長時間の残業に耐えかねて「とにかく逃げ出そう」とばかりに辞めたんですが、そのため在職中に職探しをする機会を持てずに失業状態の中で職探しをすることになりました。その際に会社に所属しているということがどれだけ個人の信用に大きな影響を及ぼすのか痛感させられました。実際問題として、クレジットカード1枚作るのにも苦労させられてしまうのです。
クレジットカードでさえこの始末ですから、住宅ローンともなるとなおのこと。ローン審査は信用が大きくものを言うことを知っておきたいところです。ローンの審査といえば「借りたお金をちゃんと返すことができるかどうか」がもっとも重視されるようなイメージもありますが、じつはそうではない面もあるのです。たとえば3000万円の現金を持っている無職の人よりも、貯金はないけど月収30万円の会社員のほうが審査に通りやすいという実情があります。
それはその人が会社に属しており、その会社が毎月給料を支払っているという「信用」があるからです。正社員ならそう簡単にクビになることはありませんし、いきなり給料が半額になるといったことも労働基準法に抵触するので起こりません。つまり月収30万円で雇用されている会社員は継続・安定してローンを返済し続けられるという信用を得られるわけですね。しかし3000万円の貯金がある人は何がきっかけでそのお金を失ってしまうかわからないし、失ったときに収入の手段が不安定なで返済できるかわからない、と判断されてしまうのです。
ですから家を買うつもりなら退職前に住宅ローンを組んでおきましょう。次の職場が辞める職場よりも恵まれている保証はありませんし、給料よりも就業環境を重視した場合には年収がダウンすることもあります。そうなると審査に通ることができたとしても融資額が希望に届かないケースも出てきます。もちろん失業中にローン審査が受かるなんてことはまずありえません。仕事を辞めるかどうか悩んでいるときに住宅ローンのことを考えるのは難しい部分もありますが、退職後の信用やローン審査についての基本的な知識は知っておきたいところです。